アメリカの弱気 2012 12 16
12月12日、北朝鮮による長距離ミサイル技術を使った、
人工衛星の打ち上げ成功と、
12月13日、中国当局の飛行機が、
初めて尖閣諸島沖の領空を侵犯したことをどう見るか。
この二つの出来事は、どう関連しているのか。
これについて、田中 宇(たなか さかい)氏は、
メールマガジンで、このように分析しています。
「北朝鮮のロケット発射に対する米国の反応が弱く、
日本は、安全保障の唯一の後ろ盾である米国に頼れない感じが強まっている。
その状況を見越したかのように、
北朝鮮のロケット発射の翌日の12月13日、
中国当局のプロペラ機が初めて尖閣諸島の領空内に侵入した」
「北朝鮮のロケット発射に対する米国の反応が弱く、
米国が、アジアでの中国の台頭に対して、
口だけしか動かせない今の状況の中、
中国が、尖閣を日本から奪うという象徴的な挙に出ようとしていても不思議でない」
(以上、引用)
確かに、全盛期のアメリカからすると考えられないほど、
今のアメリカは、弱気です。
これは、中国だけでなく、
東南アジア諸国やオーストラリアまで、同じように感じています。
何も感じていないのは、日本の政治家と日本人だけでしょう。
いまだに日本人の頭の中は、安全保障については、終戦直後のままです。
平和ボケも、ここまで行くと、
慢性病というか、持病に近いものがあります。
確かに、日本は、島国なので、
外国から攻められないという安心感があります。
しかし、たとえ国土を守れたとしても、
資源がない日本が、シーレーン(海上交通路)を守れなかったら、
それで終わりです。
今まで、日本のシーレーンは、
アメリカが、「無料で」「ついでに」守ってきました。
しかし、今のアメリカは、財政的に、そういう余裕はないでしょう。
さらに、アメリカは、国内問題に夢中で、外国には関心が低いでしょう。
東南アジア諸国としては、それならば、
今度は、日本が航行の自由を守ってほしいと思っているでしょうが、
日本の政治家と国民の頭の中は、安全保障については、終戦直後のままです。
これが、「東アジアの不幸」となるでしょう。
一石二鳥作戦 2012 10 21
これは、今年の4月に書きましたが、
重要なことなので、もう一度書いておきましょう。
私が中国の軍事指導者だったら、どう考えるか。
南シナ海を押さえてしまえば、
東南アジア諸国だけでなく、日本も支配できると考えるでしょう。
軍事的には、日本を占領する必要はなく、
南シナ海を押さえてしまえば、十分です。
後は、日本に中国の傀儡政権を作れば、
「事実上の日本占領」は完成するでしょう。
なぜか。
南シナ海とは、原油や天然ガスを満載した日本の船舶が通過する、
極めて重要な海域であり、日本の命綱と言えるからです。
その上、今、日本は、
「脱原発」という原発ゼロ運動が盛んなので、
もし、この運動が長続きすれば(もちろん、長続きするように「工作」するでしょう)、
軍事的には、絶好のチャンスに見えます。
自然エネルギーが全く役に立たないのは計算済みです。
このようなエネルギーは、農業国ならばともかく、
工業用には、全く役に立たないが見えています。
太陽光発電は、晴れの日は大いに発電できるでしょうが、
曇りの日や雨の日は、どうなのか。
そういう日は、電力の使用をやめるのか。
風力発電では、風が吹かない時は、どうするのか。
そもそも、電力というものは、貯めることができないのを理解しているか。
さて、ここで、「アメリカが助けてくれる」と思った人がいるかもしれません。
しかし、「それは、甘い」と言わざるを得ないのです。
オバマ大統領は、「南シナ海を守る」と決意したようですが、
アメリカが、いつまで、その決意を維持できるか怪しいのです。
将来、アメリカの財政が苦しくなった時、
「南シナ海を守ることは、
アメリカにとって、経済的な利益があるか」と考える大統領が出現した時、
日本は、苦しくなるでしょう。
つまり、軍事よりも経済を優先する大統領が出現した時、
日本は苦境どころか、日本存亡の危機を迎えるでしょう。